函館市 健康増進計画

「誰もが健やかで心豊かに暮らせるまち」健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指し、健康づくりを推進します!

第3次 函館市健康増進計画

これまでの取組(第1次、2次)により、函館市ではこどもや次世代の健康状態は改善傾向にある一方で、働く世代から高齢期にかけて、肥満者の割合の増加や運動習慣の悪化、依然として喫煙率が高い状況にあり、健康課題は現在も残っています。
今後、健康寿命の延伸を目指すには、本計画において健康課題の解決に重点的に取り組む必要があります。そのため、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指し、次の基本理念のもと、健康づくりを推進していきます。

高齢になってからの重症化を防ぐため、特に働く世代を中心とした施策を展開する中で、重点的に健康課題の解決に取り組むとともに、産学官連携やICTの活用によって健康増進の環境づくりと基盤整備に取り組み、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を図り、「誰一人取り残さない健康づくり」を推進します。

計画期間と評価

計画期間は令和6年度から令和17年度までの12年間とします。

函館市民の健康を取り巻く現状と課題

1.平均寿命と健康寿命

平均寿命と健康寿命は、いずれも全国および北海道よりも短い状況です。
 

2.主要死因の構成比

死因の約半数が生活習慣に関連している疾患であり、生活習慣病対策が重要です。

3.標準化死亡比
(SMR)※

腎不全、肺炎、悪性新生物が高い状況です。生活習慣で改善が期待できる腎不全と悪性新生物の対策が課題です。

 

4.一人当たり医療費
(北海道との差額)

35歳以上の全年代で北海道より医療費が高額となっているため、若い世代からアプローチを始めることが重要です。

5.糖尿病・高血圧

糖尿病、高血圧、脂質異常症を比較すると、どの疾患も患者一人当たりの医療費は北海道を上回っています。糖尿病は患者一人当たりの医療費が高額で、高血圧は患者数が多い状況であり、糖尿病と高血圧に注目した対策が必要です。

6.介護認定者が抱える傷病

要支援1・2の認定者が抱えている生活習慣に関連した傷病では「筋骨格系疾患(骨粗しょう症等)」や「変形性関節疾患」が多く、これらが介護が必要となっている主な要因と推測されます。

健康課題の整理

  1. 働く世代へのアプローチ
    働く世代から高齢期にかけて、肥満者の割合の増加など、生活習慣病のリスクが高まっています。また、一人当たり医療費が30歳代後半から北海道を上回っていることから、高齢期の重症化を防ぐためにも、特に働く世代へのアプローチが必要です。
  2. 生活習慣の改善
    がんや脳・心血管疾患による死亡が多く、がんや腎不全の標準化死亡比が高い状況です。肥満者の割合や、運動、飲酒、喫煙などの生活習慣は、全国よりも生活習慣病のリスクが高い状況にあることから、健康的な生活習慣の普及が重要です。
  3. 生活習慣病の発症予防・重症化予防
    腎疾患の原因となる糖尿病、高血圧の患者一人当たり医療費が高額であり、疾病の重症度が高い可能性があることから、ハイリスク者への個別指導等による疾病の発症予防・重症化予防が必要です。
  4. ヘルスリテラシー※ の向上と自然に健康になれる環境づくり
    特定健診やがん検診の受診率が低く、健康無関心層が多くいることから、ヘルスリテラシーの向上対策と無理なく自然に健康な行動をとることができるような環境づくりに取り組む必要があります。※健康に関する情報を探したり活用する能力

取り組みと目標

基本施策1:生活習慣の改善

栄養・食生活

生涯にわたって健康な体をつくる食生活の定着

生活習慣病やフレイル予防のためには、肥満とやせのどちらにも注意し、適正体重を維持することが重要です。
適正体重や望ましい食事バランス、減塩に配慮した食事の実践につながる普及啓発を行います。

BMI(体格指数)

体重[kg]÷身長[m]÷ 身長[m]

・やせ:18.5未満
・普通:18.5~25未満
・肥満:25以上

※ 65歳以上はBMI20を超え25未満が普通

みんなで目指そう!

  • 毎日、体重・血圧を測ろう。
  • 1日5皿、野菜料理を食べよう。
  • 減塩を意識しよう。
高齢期にプラス

たんぱく質をしっかり食べよう。

身体活動・運動

体を動かす習慣の定着

日常的に体を動かす意識を持ち、自分にあった方法で身体活動量が増やせるよう、『+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう』の普及啓発に努めます。
また、楽しみながら運動を続けられるよう、はこだて健幸アプリ“Hakobit”を活用し、体を動かすきっかけを提供します。

みんなで目指そう!

  • 意識的に体を動かし『+10(プラステン)』を目指そう。
  • 立って過ごす時間を増やそう。
  • 楽しみながら運動を続けよう。
飲酒

適正飲酒の推進

経済団体や企業等と連携し出前講座を行うなど、飲酒による体への影響や適正飲酒量・飲酒頻度、休肝日の知識について普及啓発に努めます。
また、20歳未満や妊娠・授乳期の飲酒をなくすため、学校や市関係部署と連携し対象者に合わせた普及啓発を行います。

純アルコール量20g相当の例

・ビール(5%)= 500ml

・日本酒(15%)= 一合(180ml)

・チューハイ(7%)= 350ml

・ワイン(12%)=240ml

みんなで目指そう!

  • 適正飲酒量を守ろう。
  • 休肝日を週に2日連続して設けよう。
女性にプラス

妊娠・授乳期は必ずお酒をやめよう。

喫煙

禁煙支援と受動喫煙対策の充実

「タバコを吸わない人を増やす」ため、協会けんぽとの連携により喫煙者への禁煙に関する情報提供や禁煙外来のある医療機関と連携し、禁煙に関する普及啓発を行います。
また、妊娠・授乳期の喫煙や出生後のこどもへの受動喫煙をなくすため、市関係部署と連携し対象者に合わせた普及啓発を行います。

みんなで目指そう!

  • 禁煙に取り組もう。
  • 望まない受動喫煙を防止しよう。
女性にプラス

妊娠・授乳期は必ずタバコをやめよう。

歯・口腔の健康

歯・口腔の健康を保つ健康行動の推進

『8020運動(80歳で20本の歯を残す)』に向けて、歯科医師会と連携し、学校や介護事業所等での講話や相談などを行うほか、健康経営の観点から企業等に対しても講話や個別の検査などを行い、全世代に向けて口腔ケアの重要性および正しい知識の普及を図ります。

みんなで目指そう!

  • 毎日、口腔ケアをしよう。
  • 定期的に、歯科検診を受けよう。
休養

適切な睡眠や余暇時間の確保の推進

休養がもたらす体への影響やこころの健康づくりについて普及啓発に取り組むとともに、よい睡眠をとるために、自分にあった工夫ができるよう正しい知識の普及と情報提供に努めます。

みんなで目指そう!

  • 日中の運動・身体運動を増やし、睡眠の質を高めよう。
  • 就寝前のスクリーンタイムを控え、寝付きをよくしよう。
働く世代にプラス

余暇時間を確保しよう。

基本施策2:生活習慣病の発症予防・重症化予防

糖尿病・高血圧対策

健診の受診および適切な健康行動の推進

特定健診の受診率向上とともに、特定保健指導の実施率向上に努めます。また、減塩や野菜の摂取、運動、禁煙など健康的な生活習慣の普及、家庭での血圧測定の普及に取り組みます。

腎疾患対策

慢性腎臓病(CKD)対策の推進

糖尿病・高血圧対策を徹底するとともに、広くCKDの予防や早期発見の重要性について普及啓発に努めます。

みんなで目指そう!

  • 毎日、体重・血圧を測ろう。
  • 毎年、健診を受けよう。
  • 健診結果を活かし、生活習慣の改善や医療機関への受診をしよう。
がん対策

がんの一次予防の普及とがん検診の受診率向上

がん検診の受診率を向上させ、早期発見・早期治療につなげるため、個別勧奨等の強化に努めます。
また、生活習慣の改善など一次予防の強化を図るほか、ピロリ菌検査や肝炎ウィルス検査、子宮頸がんワクチン接種について積極的な周知を図ります。

みんなで目指そう!

  • 生活習慣を改善しよう。
  • 定期的に、がん検診を受けよう。
  • ピロリ菌検査や肝炎ウィルス検査を受けよう。
次世代にプラス

子宮頸がんワクチンを受けよう。

基本施策3:生活機能の維持・向上

高齢になっても生活機能を
維持・向上できる生活習慣の定着

高齢になってからの重症化を防ぐため、食生活などの健康的な生活習慣を普及するとともに、骨粗しょう症の予防や早期発見・早期治療につなげるため、骨粗しょう症検診の受診率向上を図ります。

みんなで目指そう!

  • 毎日、体重・血圧を測ろう。
  • バランスのとれた食事を摂ろう。
  • 楽しみながら運動を続けよう。
女性にプラス

定期的に、骨粗しょう症検診を受けよう。

基本施策4:自然に健康になれる環境づくり

健康づくりに触れる機会の創出

健康面での心がけが20~30歳代で不十分な傾向があること、健診・検診の受診率や保健指導の実施率が低く、自身の健康状態を把握できていないと思われる無関心層が多くいることから、健康無関心層も含めて無理なく自然に健康な行動をとることができるような環境づくり、健康づくりのための社会資源の整備に取り組みます。

60歳代でも8割以上がスマートフォンを使用している状況にあり、さらに健康情報を入手したことがある割合が30~40歳代で最も高く5割を超えていることから、健康情報へ積極的にアクセスできるよう、日常のさまざまな場面での健康に関する情報を発信し、ヘルスリテラシーの向上を図ります。
また、はこだて健幸アプリ“Hakobit”を普及するとともに、経済団体や企業・団体と連携し、アプリを活用したイベントを開催することで、働く世代が健康づくりに触れる機会を創出するとともに、「はこだて市民健幸大学」等のイベントにおいて、様々な人々と交流する機会をつくり心身の健康づくりを推進します。
そのほか、ウォーキングコースの普及や拡充など、身近な健康づくりスポットを周知するほか、飲食店と連携し食を通して健康づくりを意識できる環境づくりに取り組みます。

基本施策5:健康増進のための基盤整備

産学官連携によるICT活用の推進と地域全体の健康づくりの推進

企業や団体主催の健康イベントを開催するなど、地域全体の健康づくりを推進するとともに、健康づくりに賛同する企業や団体を増やし健康増進のための基盤整備に取り組みます。そのような主体が自発的に健康づくりに参画できるプラットフォームとして、「はこだて市民健幸大学」を活用するとともに、市民から健康づくりに関する意見等を収集し、施策につなげることで、地域全体による健康づくりを推進します。

また、健康づくりを行う基盤の一つとして、協会けんぽや経済団体等と連携し、企業における健康経営の実践を推進するほか、こどもの頃から自分の体に関心が持てるような健康教育をすすめ、健康づくりに対する地域の関心度の向上を図ります。
さらに、“KDB Expander”やはこだて健幸アプリ“Hakobit”等、ICTの活用により入手可能なデータを合わせ、産学官連携により取組の効果検証や現状分析を行い、科学的アプローチを展開するとともに、多くの関係団体と健康課題の共有をしながら、それぞれの強みを発揮できるよう連携体制を強化します。

第3次函館市健康増進計画(概要版)令和6年(2024年)3月発行/函館市保健福祉部健康増進課
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