健康や栄養に関する表示について
令和2年(2020年)4月1日より新たな食品表示制度が完全施行になりました。
食品の表示について定めた新しい法律「食品表示法」が平成27年4月1日施行され、原則として、容器包装に入れられた消費者向けに販売される加工食品および添加物について、栄養成分表示が義務化されました。企業・事業者向けに表示内容と方法をまとめましたのでご活用ください。
食品表示基準では、栄養成分および熱量を義務表示対象成分、推奨表示対象成分、任意表示対象成分として定めています。これらの栄養成分および熱量は、国民の栄養摂取の状況からみて、その欠乏または過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして、厚生労働省令により定められたものです。
なお、栄養成分および熱量の補給ができる旨、適切な摂取ができる旨、ナトリウム塩および糖類を添加していない旨等の栄養強調表示をする場合等には、一定の基準を満たすことを義務付けています。
栄養成分表示
表示内容
「熱量」「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」「ナトリウム」の量の表示が必要です。
「ナトリウム」については、「食塩相当量」で表示し、それぞれ一定の値または下限値および上限値を表示します。
※食塩相当量の算出方法:食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000
★義務表示5成分を表示する場合
- 食品の単位は、100g、100ml、1食分、1包装、その他の1単位の量を表示します。1食分である場合は1食分の量を併記して表示します。
- 栄養成分および熱量の順は変更できません。
- ナトリウム塩(塩化ナトリウム)を添加していない食品については、食塩相当量に加えてナトリウムの量を表示することができます。その場合、ナトリウムの量の次にカッコ書きで食塩相当量を記載します。
0と表示できる場合について
食品100g当たり(清涼飲料水その他の一般に飲用に供する液状の食品にあっては、食品100ml当たり)の栄養成分の量および熱量については、食品表示基準別表第9の5欄未満であれば0と表示することができます。
ただし、栄養成分の強調表示等をする場合はこのような推定による表示はできません。
表示方法
容器包装を開かなくても容易に見ることができるように、当該容器包装の見やすい場所に表示します。
- 熱量 → エネルギー
- たんぱく質 → 蛋白質、たん白質、タンパク質、たんぱく、タンパク
- ミネラル → 元素記号
(例:ナトリウム→「Na」、カルシウム→「Ca」、鉄→「Fe」) - ビタミン → ビタミン名の略語(ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸を除く。)
(例:ビタミンA→「V.A」、「VA」)
表示事項は、原則として8ポイントの活字以上の大きさの文字で記載します。
ただし、表示可能面積がおおむね150㎠以下の場合は、5.5ポイントの活字以上の大きさの文字で記載することができます。
栄養成分表示を省略できるまたは要しない場合
- ア 容器包装の表示可能面積がおおむね30㎠以下であるもの
- イ 酒類
- ウ 栄養の供給源として寄与の程度が小さいもの
※次のa、bのいずれかの要件を満たすもの
a. 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物およびナトリウムの全てについて、0と表示することができる基準を満たしている場合
b. 1日に摂取する当該食品由来の栄養成分(たんぱく質、脂質、炭水化物およびナトリウム(食塩相当量に換算したもの))の量および熱量が、社会通念上微量である場合 - エ きわめて短期間で原材料(その配合割合を含む)が変更されるもの
※次のa、bのいずれかの要件を満たすもの
a. 日替わり弁当等、レシピが3日以内に変更される場合(サイクルメニューを除く)
b. 複数の部位を混合しているため都度原材料が変わるもの(例:合挽肉、切り落とし肉等の切身 を使用した食肉加工品、白もつ等のうち複数の種類・部位を混合しているため都度原材料が変わるもの) - オ 消費税法(昭和63年法律第108号)第9条第1項において消費税を納める義務が免除される事業者が販売するもの(当分の間、中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第5項に規定する小規模企業者が販売するものも含む)
- ア 食品を製造しまたは加工した場所で販売する場合
(ただし、スーパーマーケットのバックヤードで単に小分け等を行った加工食品をその場で販売する場合等は、これには該当しないので栄養成分表示が必要) - イ 不特定多数または多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合
参考
【消費者庁】「〈事業者向け〉食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン 第4版」(令和4年5月)(PDF)
栄養強調表示
食品表示基準では、その欠乏や過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えている栄養成分について、補給ができる旨や適切な摂取ができる旨の表示をする際の基準を定めています。
(基準値や測定法および算出方法については、参考欄の資料を確認してください。)
補給ができる旨の表示(食品表示基準第7条、第21条、別表12)
適切な摂取ができる旨の表示(食品表示基準第7条、第21条、別表13)
糖類を添加していない旨(「糖類無添加」、「砂糖不使用」等)の表示(食品表示基準第7条)
(糖類は単糖類または二糖類であって糖アルコールでないもの)
※「ノンシュガー」、「シュガーレス」のような表示は糖類について「含まない」旨の表示に該当します。
以下のすべての要件を満たす場合には、糖類を添加していない旨の表示をすることができます。
- いかなる糖類も添加していないこと。
- 糖類に代わる原材料または添加物を使用していないこと。
- 酵素分解その他何らかの方法により、当該食品の糖類含有量が原材料および添加物に含まれていた量を越えていないこと。
- 当該食品の100gもしくは100mlまたは一食分、一包装その他の一単位当たりの糖類の含有量を表示していること。
ナトリウム塩を添加していない旨(「食塩無添加」等)の表示(食品表示基準第7条)
以下のすべての要件を満たす場合には、ナトリウム塩を添加していない旨の表示をすることができます。
- いかなるナトリウム塩も添加していないこと。
- ナトリウム塩に代わる原材料または添加物を使用していないこと。
(添加ナトリウム塩に代わる原材料の例:ウスターソース、ピクルス、ペパローニ、しょうゆ、塩蔵魚、フィッシュソース等)
参考
保健機能食品
保健機能食品には栄養機能食品、特定保健用食品、機能性表示食品の3種類があります。
国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品です。
医薬品とは異なり、疾病の治療や予防のために摂取するものではありません。
栄養機能食品について
1日に必要な栄養成分が不足しがちな場合、その補給・補完のために利用できる食品です。
既に科学的根拠が確認された成分が、定められた上・下限値の範囲内にある食品であれば特に届出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができます。
対象成分は、食品表示基準別表第11に定める20種類の栄養成分です。
表示事項は、基準に定められています。
機能性表示食品について
事業者の責任において、疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している者を含む。)および授乳婦を除く。)に対し、機能性関与成分によって健康の維持および増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く。)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示するものをいいます。
ただし、特別用途食品、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料、ナトリウム・糖分等の過剰な摂取につながる食品は除きます。
当該食品に関する表示の内容、食品関連事業者名および連絡先等の食品関連事業者に関する基本情報、安全性および機能性の根拠に関する情報、生産・製造および品質の管理に関する情報、健康被害の情報体制その他必要な事項を販売日の60日前までに消費者庁長官に届け出る必要があります。
特定保健用食品(トクホ)について
健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収をおだやかにする」などの表示が許可されている食品です。表示されている効果や安全性については、健康増進法第26条第1項の規定に基づき国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可をしています。
表示事項は、基準および健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成21年内閣府令第57号)に定められています。
誇大表示の禁止(健康増進法第65条第1項)
食品として販売に供する物に関して、広告その他の表示をする際は、健康の保持増進の効果等について虚偽誇大広告をすることが禁止されています。
これは、ある食品について、健康の保持増進等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、その効果を期待させる虚偽誇大広告等を信じた国民が適切な診療機会を逸してしまう等、健康に重大な支障を起こす可能性があるためです。
健康増進法第65条第1項
「何人も、食品として販売に共する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。」
※「広告その他の表示」とは、顧客を誘引するための手段として行う広告その他の表示であって、商品・容器または包装によるものやチラシ、ポスター、口頭によるもの、インターネット・パソコン通信機器等によるものなどが当たります。
※健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項
- 疾病の治療または予防を目的とする効果:「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」、「末期ガンが治る」など
- 身体の組織機能の一般的増強,増進を主たる目的とする効果:「疲労回復」、「食欲増進」など
- 特定の保険の用途に適する旨の効果:「おなかの調子を整えます」、「血圧が高めの方に適する」など
- 栄養成分の効果:「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」など
- 含有する食品または成分の量
- 特定の食品または成分を含有する旨
- 熱量
- 人の身体を美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つことに資する効果:「美肌、美白効果が得られます」、「美しい理想の体形に」など
参考
- 【消費者庁】健康増進法(誇大表示の禁止)
- 【消費者庁】「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(冊子)」
- 【消費者庁】「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(要約版)」(PDF)