手軽に塩分を減らすコツ
2022年10月開催「ウェルネスFesはこだて」で行われた木幡恵子先生(北海道栄養士会函館支部長/函館短期大学名誉教授)の講演「手軽に塩分を減らすコツ」から、健康づくりに役立つ情報やアイディアを紹介します。
まずは、日本人の血圧事情を確認。高齢者の70%が高血圧
厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」によると、70歳以上の男女の70%が高血圧者です。若い年代の高血圧者は少ない傾向ですが、年齢を重ねるにつれてその割合が高くなります。(図1)
高血圧症には、特有の基礎疾患によって血圧上昇をきたす二次性高血圧と、明らかな原因のない本態性高血圧の大きく分けて2つがありますが、ほとんどは後者。「食塩の過剰摂取」「肥満」「飲酒」「運動不足」「ストレス」や「遺伝的体質」などが組み合わさって起こると考えられ、中でも最大の原因は食塩の摂りすぎであると言われています。
また、日本人の1日あたりの食塩摂取量(20歳以上)の平均値は10.1gです。(図2)
20歳以上の食塩摂取目標量は、男性では7.5g未満、女性では6.5g未満です。平均値は目標量よりも多い状況であるため、私たちは減塩にもっと取り組む必要性があります。
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毎日の食事でおいしく減塩
ちょっとした工夫で、おいしさと減塩を両立させることができます。3つの方法をご紹介します。
様々な食材を入れて汁物の具を多くすることで、それぞれの食材のうまみが溶け出し、少ない調味料でおいしくなります。
また、椀に盛る汁は少なくしましょう。塩分を含んだ汁を飲む量を減らせば、おのずと、塩分摂取量を減らせます。
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汁物や煮物・炒め物の味付けには、昆布やかつお節でとっただし汁や、干ししいたけ、トマト、豚肉など、うまみの強い食品を使いましょう。
また、牛乳とあわせてコクや風味を出すのもお勧めです。塩味が少なくてもおいしくいただくことができます。
具体例:「醤油1/2+だし汁1/2」「納豆たれ1/2+牛乳1/2」「ドレッシング1/2+牛乳1/2」など
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全ての料理を薄味にすると、物足りなさを感じる方がいるかもしれません。その場合、一度の食事で食べる料理のうち、1品は好みの塩味にして、残りは薄味に。メリハリをきかせることで、満足感を感じながら合計の塩分摂取量を減らすことができます。
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「乳和食」で減塩+カルシウムアップを実現
「乳和食」は、牛乳をプラスすることでうま味やコクをアップさせ、調味料を減らしてもおいしく食べられ、カルシウムの摂取量を増やすこともできる減塩手法です。
かんたんにおいしく、健康的な食生活を実現する方法として、ぜひお試しください。
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参考レシピ
2022年10月開催「ウェルネスFesはこだて」では、「削り節とこんぶのだし」と「乳和食」の試食を行いました。
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